社会的インパクトとは何か

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「社会的インパクトとは何か 社会変革のための投資・評価・事業戦略ガイド」/マーク・J・エプスタイン、クリスティ・ユーザス 著 鵜尾雅隆、鴨崎貴泰 監訳 松本裕 訳(英治出版)

2018年1月に施行された「休眠預金等活用法」により、10年以上に渡って取引が行われていない銀行預金を社会課題の解決や民間公益活動のために活用することができるようになりました。2019年から実際に制度がスタートし、指定活用団体、資金分配団体の指定を経てまもなく活動団体への資金交付が始まります。

この、休眠預金の活用にあたっては「評価」の必要性と責務が求められています。休眠預金は国民の資産であるためその活用にあたっては、社会的課題の解決を図るという、「成果」を目に見える形で国民に示す必要があります。その成果は「社会的インパクト」と呼ばれていますが、この社会的インパクトをプロセスの透明性や適正性を確保しながら評価することを「社会的インパクト評価」と呼び、次のように定義されています。『「社会的インパクト評価」とは短期、長期の変化を含め、当該事業や活動の結果として生じた社会的、環境的な変化や「便益」等の「アウトカム(短期・中期・長期)」を定量的・定性的に把握し、当該事業や活動について価値判断を加える(評価を行う)こと』(内閣府「社会的インパクト評価の推進に向けて」)。社会的価値を「可視化」し、これを「検証」し、資金提供者である国民への説明責任(アカウンタビリティ)につなげていくことで、国民の理解を得るとともに民間公益活動の質的な向上につなげていくことが期待されています。日本においてはこの休眠預金の活用を機に「社会的インパクト評価」の重要性が注目されつつあると言えます。

では、実際にどうやって「社会的インパクト評価」を行うのでしょうか。どのような成果をどのような手順でどのようなスケールを持って測るのか。こうした漠然とした悩みに応えてくれるのが本書です。「社会的インパクト創造サイクル」というフレームワークを用いて、評価測定の道筋を①何を投資するのか?②どの問題に取り組むのか?③どのような手順を踏むのか?④成功はどのように測定するのか?⑤インパクトを大きくするにはどうすればいいのか?という5つの質問に答える形で展開しています。その中では、「社会的インパクト評価」を行う上で有効な手法であるロジックモデルの活用や、インパクト測定のステップなどについても解説されています。

休眠預金だけではなく、日本でもいくつかの事例が出てきている、ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)においても「社会的インパクト評価」が求められており、今後ますますその価値と重要性が認識されていくのではないでしょうか。

(Kazu)

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