「認定NPO法人トラッソス」訪問記

COLUMN "next one more"

 トラッソスは子どもから大人まで、知的障害や発達障害などの特性のある方々がサッカーを楽しめるスクールやクラブを運営しているNPOです。また健常児・者との交流イベント、指導者育成、指導者派遣も行い、障害をもっていても健常者と同じように明るく前向きな人生を送れるよう、関係者の輪を広げ活動している団体です。 

*現在東京神奈川に7つのサッカースクール、生徒数76名・サッカークラブ選手61名 

 2019年5月22日、トラッソスサッカースクールの練習を見学させて頂きました。 

私達が今日の練習場所、中学校の体育館に着いた時はもうおおよその子ども達、コーチ、ボランティアコーチ、それに数名の親御さん達が集まっていました。子ども達は30人ほど、大人は10人ほどいたでしょうか。みんな笑顔で走り回っていました。 

 そのうち体育館の中央で準備体操が始まりました。コーチのそばで身体を動かし始める子が半分くらい。半数ほどが相変わらず周囲で友達と遊んでいます。コーチは素知らぬふりで体操を続けます。でも私は、コーチは全身「目」になっているのだろうと推察しました。だんだん準備体操組が増えてきました。 

 さあ、ゲーム開始!試合中は全員真剣そのもの。ゴールした時の得意そうな顔、ハイタッチで喜び合う笑顔。ここまでの間コーチは声を荒げたことは一切ありません。ここにいる全員が安心して今この場を楽しんでいるように見えました。 

とにかく全部の子ども達が自由にノビノビ動き回っています。しかし試合になるとみんな厳しい選手の顔に変わります。その落差に、流石だなぁと大感心でした。 

体育館に漂っている何とも言えない柔らかさに私も包まれた時間でした。同時にコーチ達のこれまでの努力に培われた力量を強く感じました。 

この日は練習を見学させて頂くことしかできませんでしたが、1ケ月後「トラッソス交流&報告会」に参加する機会を得ました。 

 交流会には、代表理事江木ひかり氏をはじめ、トラッソスの創設者で副理事長の吉澤昌好氏(よしコーチ)と藤沼光輝氏(みつコーチ)や団体関係者、支援企業、支援者、保護者、高校生の時からボランティアを続けている昭和最後の年生まれのお嬢さん、指導者塾の受講者など20数名の多彩な顔触れが集まっていました。 

トラッソスの報告をなさった際の、よしコーチの次の2つの話が心に残りましました。 

「2003年最初の時、説明会に来た参加者は40人でしたが、11人しか入会しませんでした。その時は僕たちの力量が足りなかったのです」。 

「試合の前、子ども達は勝ちたいと言います。僕たちがそれに同意すると『勝たなければいけない』となるんです。だから僕たちは勝とうとは言いません。でもやる気を失わせないように別の言葉をかけます」 

あの、練習を見学させて頂いた日に感じた居心地の良さの理由を見ました。 

よしコーチは楽しそうに笑いながらお酒を沢山飲んでいらっしゃいました。 

みつコーチはいつものように寡黙。とてもいいコンビだなぁと思いました。 

この交流会で私の前の席にクラブメンバーのお母様が座っていました。明るく前向きで、よく笑う女性です。最近サーフィンを始めたと仰いました。 

お子さんは、出産後医師からこの子は長く生きられないと告げられました。でも必死で育ててきました。染色体の異常だそうです。 

小学校は支援学級に学びました。3年生の時、同じ支援学級の友達がトラッソスのサッカースクールに通っていたのをきっかけに彼も通い始めました。 

お母さんは土日も仕事を入れています。一緒にいるとつい、かまい過ぎて子どものために良くないと、あえて仕事に行っているのです。 

よしコーチに笑いながら「かまいすぎ!」と言われていました。 

「長く生きられないと言われたけど、19才になった!」と嬉しそうに、誇らしげに話してくださいました。 

でも少し後で「一緒に死にたい、子どもが死ぬとき私も一緒に死にたい」とポツリとつぶやきました。 

息子をもつ私の心にこの言葉は強烈に響きました。後日メールで、よしコーチは「あんなに明るい顔をしているけど歯を食いしばって生きてきたのです」とお書きになっていました。 

トラッソスは子どもから大人まで、ここに通ってくる人たちの拠り所であり、大切な場なのだと確信しました。 

この団体の活動が社会にもっともっと広がるよう、私達ネクストワンは応援していきます。 

認定 NPO法人トラッソスの活動を応援する

(S.kei)

コメント